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解き放たれしソフトウェア

GNU/LinuxなどFLOSSについて書いてみるつもり

マイクロソフトがWin10の自動アップグレードダイアログを改めた

プロプライエタリ

Windows10への半強制アップグレード問題で、先日に遂に、アップグレード通知ダイアログの内容が改善されたそうですね。 「アップグレードを辞退する」ボタンがつくられたそうです。

大資本に甘くITにも疎いと思われる消費者庁まで動いたこの騒動ですが、 MSの本国では少額訴訟が起こり敗訴、控訴せず確定したそうですから、 この敗訴の影響があったのではないかという邪推もします。

今回の件は、トップシェアの大企業がやることとしても暴挙でしたし、上場企業としてもコンプライアンス違反が明白でしたから、何故こんな暴挙を実行したのか、内部統制や企業統治自体が疑われると思います。 ダイアログの修正は遅すぎましたし、そもそも最初からやってはいけないことだったはずです。 それを故意に始めたのですから、経営判断自体が壊れています。

皆さんはそれでもマイクロソフトを信用するんですか?  何されているか判りませんよ?

Windows10への自動アップグレードの被害者は一般ユーザ

プロプライエタリ

Win10への自動(事実上の強制)アップグレード自体の問題の所在は、インフォームドコンセントの欠如にあります。

そして、Win10に勝手にアップグレードされてしまうことの直接の被害者は主に、一般ユーザです。

【ニュースの視点】半ば強引なWindows 10へのアップグレードをどう見るか ~大河原氏、笠原氏、山田氏の視点 - PC Watch

Windowsは今迄も、今でも、市販パソコンにプリインストールすることで販売してきました。 市販のメーカーパソコンを買って使っている人が多数派でしょう。そしてWindowsが圧倒的なシェアで、デファクトスタンダードです。パワーユーザ未満の人は、Windowsをパッケージでは買っていません。自動的に付いてきたただけ、抱合せ販売を受けただけです。

書籍に書いてある通りにしか操作のやれないユーザも少なくありませんWin10へのアップグレードの説明が出ても、意味が判りません

Win10と、Win7以前とでは、ユーザインターフェースが全く異なります。 また、幾らかのアプリケーションソフトウェアデバイスドライバには互換性がありません(うまく動きません)。 そうした事情のもとで勝手にアップグレードされたら、右も左も判らない、或いはせいぜい判り始めた位のユーザはどうなるでしょうか? パニックになるでしょう。

ユーザの多くは、個人所有であったり、中小零細企業であったりします。(大企業の法人数は日本ではひと握りで、中小零細および個人事業主が圧倒的な数です。) こうしたユーザは、パソコンメーカのサポート頼みか、地元の中小コンサル頼みでしょう。

つまり多くは、パソコンメーカのサポートデスクにかちこまれます。 パニックになったユーザが突撃してきて、「あんたんとこのパソコンが」という話になります。 初心者などの多くは、パソコンとOSの区別が不明瞭なまま(家電と似たような発想)ですし、実際にメーカはそうして(ハードウェアとOSを一体化して)販売しています。

だから、パソコンメーカは半泣きです。 実害が発生しているところで「マイクロソフトのせい」の一言では解決しません。 いうまでもなく、「再インストールしてください」という定番の回答はここでは解決になりません。

それで多方面から「せめて謝罪しろ」ということで、日本マイクロソフトは針のむしろになるわけですが、 意地でも謝罪しないでしょう。謝罪したら賠償責任の話になります(実際に被害が出ているでしょうから)。 そもそもきっと既に紛争になっていてユーザから提訴されているのではないでしょうか。

日本マイクロソフトには、謝罪する裁量も、日本語版だけでも自動アップグレードをデフォルト無効にするというローカライゼーションを実施する権限も、ないのでしょう。 本部の奴隷です。 そして、会社のために担当者が吊し上げを食らうという、どっかの東電と同じようなことになっています。

「初級者ユーザのためにセキュリティアップデートを自動にする」というのは理屈として成り立ちうる(欠陥を直す責任がある)としても、 機能やユーザインターフェースの互換性(同一性)を勝手に変えていい理由にはなりません。 シス管部門があるような大企業と異なって、管理者をもたないようなエンドユーザは、従来と同じ操作性と機能性が無いと困り果ててしまいます。 「マイクロソフトがパソコンを勝手に変えてしまう」ということを受け入れるような覚悟は、とてももてません。

ownCloudの創始者がNextCloudを始めて、古巣に喧嘩を売っている件

ニュース

フリーソフトウェア(AGPLv3)の ownCloud が、会社組織から非営利コミュニティに移行中です。FSF のサポーター制度にも似ていますが、更に踏み込んだ印象があります。

owncloud.com

他方その中で、創始者である Karlitschek 氏が4月に、「一身上の都合」で ownCloud を辞めました。

その彼が先日に、 NextCloud と称する、ownCloudと競合するソフトウェアプロジェクトの開始を発表しました。

推察するにこの事件もやはり、 フリー(解放)ソフトウェア主義者達と、「オープンソース」を隠れ蓑にしたプロプライエタリ(奴隷化)企業に傾倒していく人々の対立でしょう。例えば FFmpeg と Libav の分裂抗争と同じように(Libav の方がフリー側です)。

この背景には、プロプライエタリ企業による切り崩し工作と同時に、フリーソフトウェアをやっていても食っていけないという切実な社会状況があります。 フリーソフトウェアが正しくても、エンジニアが生きていくための支援が足りない。つまりは、社会の啓蒙不足と、ユーザの認識・理解不足があります。

いまの世の中はすっかり、人の制御を離れて、社会システムの方が人を支配しています。 本来は、人が社会システムを創り、社会システムの方が人の道具であるにもかかわらず。

フリーソフトウェアは、人類のプログレッション(進化、進歩)の帰結です。失った尊厳の奪還です。 プロプライエタリは、人類のリグレッション(退化)です。

オープンソース」と称したところで、我々人類が道具の奴隷と化している状況を推進するのならばそれは、プロプライエタリと同じです。 それが例えば FirefoxChromium の相異であったりします。 たとい「オープンソース」と称しようが、「コミュニティドリブン」と言おうが、本質を理解していれば凡そ見極められるはずです。

オープンソース」は、現状維持や、プロプライエタリ企業の市場開拓(資本と人の主従逆転)、つまりは我々ひとりひとりが奴隷に陥る罠でもあり、欠陥品です。

世間の「クラウド」(主にオンラインストレージ、またアプリケーションサービス)の多くは、プロプライエタリです。 だから、 ownCloud という、ユーザ自身が支配するというコンセプトのフリーソフトウェアが生まれたはずです。 言い換えれば、治者と被治者の同一性(デモクラシー)です。

NextCloud は、「ユーザが情報をコントロールする」というコンセプトだそうですが、それは、ユーザが情報を明け渡すことが念頭にあるのでしょう。 しかし、「ユーザが情報をコントロールする」というのは例えば「個人情報保護」のようなかたちで既にあるわけで、その点では Google だろうがなんだろうが他所の「クラウド」も同じです。 異なるのは単に、サーバソフトウェアのソースコードが公開されているというだけのことなのでしょう。

これでいったいどちらが支持されるのかが、我々の教養レベル(「民度」)を計る試金石になるでしょうね。