解き放たれしソフトウェア

GNU/LinuxなどFLOSSについて書いてみるつもり

gentoo リポジトリの日本語フォント

Gentoo のメインリポジトリPortageツリー)に入っている日本語文字のフォントについてですが、少ないです。

説明に"japan"が入っているものや、 USE フラグに "ja" が入っているものを検索してみると

$ eix -C media-fonts -S japan --in-overlay gentoo -\#
media-fonts/aquafont
media-fonts/aquapfont
media-fonts/font-jis-misc
media-fonts/fs-fonts
media-fonts/ipaex
media-fonts/ja-ipafonts
media-fonts/jisx0213-fonts
media-fonts/kochi-substitute
media-fonts/koruri
media-fonts/mikachan-font-otf
media-fonts/mikachan-font-ttc
media-fonts/mikachan-font-ttf
media-fonts/monafont
media-fonts/mplus-fonts
media-fonts/mplus-outline-fonts
media-fonts/ricty
media-fonts/sazanami
media-fonts/shinonome
media-fonts/umeplus-fonts
media-fonts/vlgothic

$ eix -C media-fonts -U ja --in-overlay gentoo -\#
media-fonts/acroread-asianfonts
media-fonts/infinality-ultimate-meta
media-fonts/source-han-sans

このうち、 media-fonts/infinality-ultimate-meta はフォントではなく、設定集です。 https://wiki.archlinuxjp.org/index.php/Infinality

ただ、ほかにも上記の検索で出てこないものもあります。 例えば、 media-fonts/notoNotoフォントでこれは、Googleが世界中の現役の全ての文字を網羅すべくつくっているフォントなので、日本語文字を含みます。

さて、IPAフォントM+、源ノ角ゴシック(Source Han Sans)は現在も定番でしょう。 上記検索では出てこない media-fonts/mix-mplus-ipa は、 Migu と MigMix です。 また、KoruriUmePlusも使いでがあります。

Rictyは、等幅フォントとして人気があります。

手書きフォントとしては、あくあフォント*1みかちゃんフォントがあります。

少し昔に流行ったものですが、VLゴシックVine Linux発のフォント、モナーフォントWindows添付のフォントと幅を合わせてつくられたフォントです。 元祖のモナーフォント以外にも、media-fonts/ipamonafontIPAモナーフォント)も入っています。

kochi-substituteは東風代用フォント。東雲さざなみも入っていますが、古いですね。

いわゆる明朝は、もともとが少ないですが、さらに少ないです。 今でも通用する定番はIPAくらいでしょうか。 コンピュータ上では明朝フォントがそもそも見づらいのですが、(実際には同じものではないのに)西洋の "Serif" が「明朝」に、"San Serif"(sans)が「ゴシック」に割り当てられることが多いため、"Serif"に相当するフォントが少ないわけです。

最近の業界では AdobeGoogle がオープン化したフォントの作成に力を入れていて活気がありますが、 Gentoo ではあまり追いつけていない印象があります。それでも Noto や Source Han Sans くらいは入っていますけれど。

日本社会の特質

このように日本語文字のフォントがGNU/Linuxリポジトリに入りにくいそもそもの背景に、日本社会の傾向が権威主義的、ことなかれ主義、極端な資本主義ということが挙げられると私は思っています。

欧米でも GNU/Linux ユーザは少数派だとはいえ、ウェブブラウザではとっくにマイクロソフトの人気はありません。 世界的な趨勢として、マイクロソフトは、OSを売ることでは商売にならなくなっているというのが実情です。

ところが、日韓では未だに、WindowsIEが主流です。 企業でも、WindowsではなくUNIX風OSに移行するというとよく、Macintoshを買っているようです(OSXBSD系)。 ましてやエンドユーザは未だにWindowsです。

もともと時間を労働に消費することを美徳にしている日本人ですが、さらにこの数十年は経済縮小と貧困で、収益にすぐ繋がることが見えることでないと、多くの人はやりません。ユーザが少ない上に(プロプライエタリと異なり)強制的な収益モデルが無いところ、特に貧困なエンドユーザに対しては、企業がやる気を出しません。(こうしたことは、日本語IMEGNU/Linux向けに創ることに本気を出す企業が(Googleを除き)ほとんど無いということの背景でもあります。)

多くのエンドユーザが Windows ユーザなので、 巷には自作の手書きフォントが数えきれないほどに出回っていますが、その多くも Windows を想定しています。 あってせいぜい MacOS です。(TTF や OTF は GNU/Linux でも通用しますが、フォント自体は対応しているのに、作者自身は対応していません。)

そして、一般のフリーダムやオープンなライセンスを活用せずに、不明瞭で閉鎖的な利用許諾条件も自作しています。 また、ダウンロードするのにも、フォームのボタンを押させたり、コメントを書かせたりする事例がみられます。 それは結局、他人に見せたいが、自分の手から離したくないということなのでしょう。

このような実情では、 GNU/Linuxディストリビューションとしては、リポジトリに入れにくかったり、そもそもライセンスに支障があり入れられなかったりします。 (だから他方の、厳密な自作でない「合成フォント」に関しては、もともとがオープンなライセンスであることからそれが「伝染」することから、リポジトリに入れられるわけです。)

フリーソフトウェアを理解するということは、単なる「意識高い系」というものではなく、根本的な生きかたが異なるのです。(他方の「オープンソースで収益化」という発想は、「意識高い系」にすぎません。 結局は、「カネがなければ生きていけないでしょ」と思う人が多く、そして日本は貧困だからなおさら、カネにならなければやれないのでしょう。)

しかも Gentoo ともなると、English が基本で、欧文はまだしも、日本語化は不十分です。 また、金儲けをしようという意図が無いので、しつこい親切さは無く、解らなければ English で質問するという積極性のある人でないと厳しいです。 そのため、 Gentoo は世界的にはユーザが少なくないはずなのに、日本では少なかったり力尽きる人が多いのでしょう。

GNU/Linux自体がそもそも日本語化が遅れている、というか日本が世界から取り残されているのですが、ましてや Gentoo は日本語化にさらに遅れをとっているといえます。


この投稿は Gentoo Advent Calendar 2015 - Qiita の23日めの記事ですが、投稿が遅れてクリスマスイブになりました。

*1:公式のウェブサイトはなくなっています。Gentooリポジトリでインストール可能だとしたらそれは、Gentooのミラーサーバからダウンロードしています。